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口元は、非常に豊かな表情をつくることができます。それには、唇が果たす役割が大きいのです。 口の回りには、たくさんの表情筋があり、なかでも頬骨筋(きょうこつきん)という頬から口元を引っ張っている筋肉が好意と直接関係して動いていることが、最近の研究で判明しています。
だから、口の両端は、相手の好意を知るために、最も注意すべき箇所なのです。 人間の唇がほかの霊長類に唇と大きく異なる点は、粘膜の部分がむき出しになるなどめくれていることです。 皮膚よりも濃い色で、くっきりと口元の輪郭が描かれているために、口元がわずかに変化するだけでも目立ちます。その動きは、ほかの人の目にもはっきりとわかります。
唇には大きく四種類の動きがあります。 「開く・閉じる」「前に突き出る・手前に引かれる」「上がる・下がる」「引き締まる・緩む」の四つです。これらがさまざまに組み合わされて、微妙な感情の変化を信号として発信するのです。
感情の変化はそのまま唇の動きに表れるので、注意深く観察すれば、心の中をかなりの確率で把握することができます。 心の動揺を隠そうとして意識的にとりつくろうことができる人もいないわけではありませんが、それは俳優のようによほど訓練しているか、または特別の嘘つきである場合にかぎります。ほとんどの場合、感情は唇の動きに正直に表れるものです。
たとえば、怒りと恐れは対照的な感情であり、唇にも同様に対照的な違いが現れます。怒りの場合は、外敵に対して攻撃的になるため、唇も前に突き出ます。 声を荒げて怒るときには、歯とともに唇を前面に突き出して相手を威嚇するし、湧いてくる怒りの感情を無言のまま抑えようとしても、唇は固く結ばれたまま前に突き出してくるものです。
一方、恐れの場合は、外敵の勢いに押されて唇も手前に引いてしまいます。必死に絶えようとしても、固く結ばれた唇の口角は、後退してへの字を描きます。悲鳴を上げるときも、唇は引かれているので、外からは見えません。 他人との間でもめごとや争いごとが起きた場合、相手が怒っているのか、それとも自分に恐れを感じているのかは、唇が「前に突き出ているか・手前に引かれているか」で判断できます。 相手の真意がわかれば、問題解決までスムーズに相手をコントロールしていくこともできるでしょう。
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